家族の笑顔が集まる理想のリビングの作り方

家族が心地よく過ごせるリビング作りをお考えのあなたへ。本記事では家族が自然と集まるリビングの設計上のポイントから、色彩・家具選び、最強アイテムに至るまで、理想のリビングの作り方を一級建築士が解説します。家族の笑顔があふれるリビングを作るための参考になること間違いなしです。

家族が集まるリビング(LDK)にするための計画上のポイント

家族が一緒に過ごすリビングは、心地よさが大切です。 それはただ快適な空間を作るだけでなく、家族が集まる計画(設計)上の工夫が必要です。 この章では、家族が自然と集まるリビングにするためのポイントを説明します。

家の中心に、リビング(LDK)を計画

家を計画する際は、リビングを中心に、どんな動線だったら理想的かよく考えましょう。玄関とリビング、個室とリビング、階段とリビングなど、リビングとどの部屋を連結させるかは、とても重要です。 優先順位を付けつつ、いつも暮らしの中心にリビングがあるように、計画しましょう。 日常生活の動線がスムーズになるだけでなく、家族が交流しやすい環境を作り出すことができ、社交的な空間となります。

適度な距離感が保てる空間の確保

リビングは家族や友人が集まるコミュニケーションの中心です。家族とは言え、パーソナルスペースが取れない空間では、安心して過ごすことが難しくなります。 適度な広さを確保し、圧迫感がない開放的な空間を作ることで、リラックスして気持ちの良いコミュニケーションができます。

フレキシブルに多機能に

リビングはただ座ってテレビを見る場所にとどまらず、子供の宿題をしたり、家族でゲームをしたり、ゲストをもてなしたりする多目的な空間です。家族のライフスタイルに合わせてフレキシブルに、多機能性を持たせることが大切です。リビングの一角に、リモートワーク用のデスクと子供用のデスクが並べてあって、子供の宿題を見ながら仕事というのもお勧めです。

リビングの収納

リビングは様々な活動が行われる場所なので、散らかりがちです。収納を適切に設けることで、本やおもちゃ、雑貨などをスマートに収納し、スッキリとした空間を保つことができます。収納量は、少なすぎても多すぎてもよくないので、適切な量を計画しましょう。また、隠す収納で美しく見せるのか、オープンシェルフなどで使い勝手の良い収納とするのかなど、家族のニーズに合わせた計画にすることが重要です。

リビングの色使いで家族の笑顔を引き出す

家族がリビングで過ごす時間をより快適にするためには、リビングの色使いが重要です。色にはそれぞれ心理的な作用があり、適切な色を選ぶことでリビングの雰囲気を大きく左右します。ここでは基礎的な色使いについて解説します。

癒し系カラーとポップなカラーの違い

癒し系カラーは、落ち着きと安心感をもたらす色です。緑や青、ベージュなどが代表的で、自然や穏やかさを思わせます。これらの色はリビングでリラックスしたい、穏やかな時間を過ごしたい家族に是非取り入れてみてください。一方、ポップなカラーは元気や活力を象徴する色です。鮮やかな赤や黄色、オレンジ色などが含まれ、活気あふれるリビングにすることができます。これらの色は元気を引き立てたい家族にお勧めです。

色と心理作用一覧

心理作用
活力、元気
安らぎ、穏やかさ
明るさ、元気
自然、落ち着き
ベージュ穏やかさ、安心感

このように色は多様な心理作用を持っています。目指すリビングの雰囲気や家族の性格に合わせて、上手に色使いを活用しましょう。

色の視覚的効果

明るい色は空間を広く爽やかに見せる効果があります。逆に、濃い(暗い)色は空間を狭く、または落ち着いた雰囲気に見せます。開放的で明るいリビングにしたい場合は、白に近い色がお勧めです。 落ち着いてリラックスできるリビングにしたい場合は、濃紺などの濃い色やこげ茶に近い木目調を使うのがお勧めです。 色彩によって部屋の印象はガラッと変わるので、既にお住まいの方でも、壁紙だけでも張り替えてみてください。

ムードを高める照明の色

リビングの雰囲気を左右するもう一つの要素が照明の色選びです。温かみのあるオレンジ系の照明(電球色 2700~3000K)は、副交感神経を刺激すると言われ、落ち着いた時間を過ごす家族を暖かく包み込みます。一方、白色の照明(昼白色5000K)は部屋を明るくし、清潔感や広がり感を演出します。白色の照明は交感神経を刺激すると言われ、脳を活性化させます。 家族がリビングで何をするかによって、照明の色を選ぶと良いでしょう。

お気に入りの家具を選び、大好きなリビングを目指す

リビングで快適に過ごすためには、家具選びも重要です。機能性とデザイン性を兼ね備えた家具を上手にレイアウトすれば、家族が集まることがより一層楽しみになります。ここでは、家具の選び方のコツを紹介します。

座り心地にこだわる

家族が長時間過ごすリビングでは、ソファやチェアなどの座り心地が非常に重要です。椅子の素材、座面の高さ、背もたれの角度、ひじ掛けの有無などなど、座り心地に関係する要素はたくさんあります。 家族の体型や座る習慣を考慮した家具選びをすることで、リラックスできる空間になります。

洗練された雰囲気にするには

リビングを、お洒落な雰囲気にする方法の1つは、家具のテイストや色味を統一することです。家族の好きな色味で良いので、統一させてみてください。また、次のステップとして、クッション、椅子の座面やカーテンなどに、差し色(統一した色とは違う色)を入れることで、お洒落になります。

家族が集まるリビングにするための最強のアイテム

最後に、番外編として、家族が集まるリビングにするための最強のアイテムを紹介します。

それは、暖炉(薪ストーブ)です。

暖炉は身体も心も温めるだけでなく、中心的な場所としての象徴的な存在なので、自然と家族が集まります。また、火を見つめると心が落ち着き、リラックスできるため、静かな対話や思索に最適な場所となります。近年は、コンパクトでお洒落、かつ、煙が少ないストーブも出ているので、検討してみてはいかがでしょうか?

まとめ

理想的なリビングとは、家族が自然と集まり、笑顔が生まれる場所。計画の工夫、色使い、家具の選び方などを考慮し、家族が心地よく、いつまでも居たくなるような空間を作りましょう。

著者のイメージ画像

有限会社 芝山建築設計事務所
芝山 卓也

大学卒業後、3つの設計事務所を経験。
様々な設計の経験を重ね、工藤和子と2014年shiba.建築設計事務所を設立。
小さい頃から、建築士だった父親の真摯な姿勢、地域の福祉に尽力した祖母の精神を見て育ちました。二人の想いを引き継ぎ、誰一人取り残さない社会の実現のため、挑戦していきます。